『天国で君に逢えたら』

天国で君に逢えたら (新潮文庫)

天国で君に逢えたら (新潮文庫)


末期ガンに襲われた世界的ウィンドサーファーが書いた物語。
作者のこの背景をあわせて読むべき本だろう。


率直に言えば、いい意味で、本の価値の半分は、筆者がガンに侵されながらも書いた物語が、こういう物語だったということにあると感じた。


病院の中に、
ガン患者の心の叫びを代筆する“手紙屋”を開業した、精神科医
彼のもとに、いろんな人が訪れる。
ガンという現実を前にして、各々が揺れる。


こういうテーマは暗くなりがちだけれど、
なんとも爽やかに一つ一つを取り上げている。
少し物足りないところもあるけれども、こういう作品もいいかな。


最期まで読んだら、もう一度冒頭のところを読みたい1冊。


“死を前にした人間の心の中には、二つの感情しか湧き出して来ないと、彼は言っていました。あらゆるものへの感謝、すべての人に対する共感だそうです。”