『芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄』

芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄 (岩波文庫)

芭蕉 おくのほそ道―付・曾良旅日記、奥細道菅菰抄 (岩波文庫)


松尾芭蕉
風狂の人である。


旅に生き、旅に死ぬ。
日常の生活に、風流を探し求め、
歩んだ世界と彼がもつ視点は、
なんとも趣に満ちている。


土地と人を訪ねる旅に惹かれる。


奥の細道では、有名な俳句がいくつも出てくるが
それよりも印象的なのは、日本海側の旅。
陽の旅、陽の句が太平洋側であり、東北を訪ねていく旅であれば、
それと対比された、
陰の旅、陰の句、日本海の南下は、なんともせつない。
人の世の寂しさ、せつなさ、いとおしさを感じる紀行文なのだ。


読んでみてはじめてわかった。
芭蕉がただの俳人ではないことが。


“月日は百代の過客にして、行かふ年も又旅人也。舟の上に生涯をうかべ馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして、旅を栖とす。古人も多く旅に死せるあり。”