叱られないために、仕事をする
笑い話のような、笑えない話。
もうかれこれ、4年も前になるだろうか。
大学4年生だった僕は、教育実習のガイダンスに参加していた。
数ヶ月後に、教育実習をうける大学生が、
心構えなどを教わるという名目のオリエンテーションである。
そこで、学校の教師に対して質疑応答の時間があったのだが、
そこで出たひとつの質問に、僕は驚いた。
ある学生は、実習の受け入れ先の教師にこう質問したのだ。
「教育実習で叱られないためには、どうしたらいいですか?」
と。
叱られないために、教育実習に行くのか?
いや、そもそも、そんなことくらい自分の頭で考えられないのか?
子どもでもそんなことを教師に質問しない。
ましてや、これから教師を目指そうとする学生の質問か?
教育実習は、こちらも学ぶ場である。
叱られたっていいし、むしろ、叱られて吸収してやろうってくらいではないか。
この先の教育が少し不安になった瞬間でもあった。
さて、さすがに口に出さないとはいえ、
叱られないために仕事をしてしまう
ということはまったくないわけではないだろう。
ふと、自分のことを考えると、人のことはいえない時がある。
そんなとき思うのだ。
あれ?自分は上司に叱られないために仕事をしているのだっけ、と。
仕事の成果は独りよがりであってはいけないけれど、
他人の評価にびくびくしながらするものでもないよな、と。