『風に舞いあがるビニールシート』

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)

風に舞いあがるビニールシート (文春文庫)


第135回直木賞受賞作。


気持ちがいい文章です。
気持ちがいい文体です。


自分だけの価値観を守り、
お金よりも大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6編。


それぞれの物語に、それぞれのよさがあります。
大切なものが何か、
わからないし、ぶれるし、もがくし、葛藤するし、
きれいなことばかりではありません。


それでも、懸命に。


“ああ、やはりこの国は平和でいい。平和ボケ万歳だ、望むところだ、と突然、発作のように里佳は胸をつまらせた。平和はかくも美しい。ボケでもなんでもすばらしい。どうかこの美しさが、すばらしさが永久に続きますように。彼らがその下に敷いたビニールシートをしっかりと大地に留め、荒ぶる風に抗いつづけますようにー。”