『まほろ駅前多田便利軒』

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)

まほろ駅前多田便利軒 (文春文庫)


東京のはずれのまほろ市。
そこで便利屋を営んでいる多田のもとには、いろんな相談がくる。


高校の同級生の行天も居候を始め、
次第に行天と多田の過去も明らかになってきて・・・。


ぽうっとあたたかい灯が、街にともるような、
やさしく包み込まれる雰囲気をもった小説です。


いろんなことを抱えて生きていても、
それを包み込むあたたかさ、がある。


“「いくら期待しても、おまえの親が、おまえの望む形で愛してくれることはないだろう」
「そうだろうね」
由良はドアを開けて家に入ろうとした。
「聞けよ、由良」
多田はその手をつかみとめた。「だけど、まだだれかを愛するチャンスはある。与えられなかったものを、今度はちゃんと望んだ形で、おまえは新しくだれかに与えることができるんだ。そのチャンスは残されてる」”