『沈まぬ太陽(二)』

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)

沈まぬ太陽〈2〉アフリカ篇(下) (新潮文庫)


パキスタン駐在を終えた恩地を待ち受けていたのは、さらなる報復人事だった。
イラン、そして路線の就航もないケニアへの赴任。


労働組合の委員長であったがゆえの人事。
ひとりの人間の生活をここまで苦しめてよいのか。


家族にも迷惑をかけても、
恩地は、筋を通す。
組合で闘っている社員のため、
また、不条理に屈しないため。


企業の重みに屈しないことがいいことなのかどうかは、
判断が分かれるところではないでしょうか。


“電話をきってから、島津は苦々しい思いで、煙草に火を点けた。一向に改まらない本社上層部と、政治家との癒着ぶりが、忌々しかった。如何に政府出資の特殊法人といえども、自ずから節度があるべきであったが、その節度を失いつつある会社の将来を憂えた。”