『人類を救う「レンタルの思想」ー松井孝典対談集』

人類を救う「レンタルの思想」―松井孝典対談集

人類を救う「レンタルの思想」―松井孝典対談集


資本主義の限界。
拡大し続けなければならないその仕組みは、やがて限界を迎える。
人口の増加、人間圏の拡大には、物理的な限界がともなう。


拡大し続けなければならない路線ではなく、
別の生き方、生活圏を模索しなければならない。
人間の欲望を「所有」という観点からみたとき、
多くの人が多くのものを所有しようとすることの限界に気づく必要がある。
そこで模索されたのが、レンタルの思想。


問題意識があちこちに散りばめられており、面白い。
対談という形式のため、
深く掘り下げてというわけではないが、
各分野の視点も混ぜあわせて、問題意識の宝庫のような本である。


人間は、地球から、いろいろなものをレンタルして生きているのだ。
借りぐらしといってもいい。
それはいずれ、返さねばならず、後世に伝えなければならないものなのだ。


レンタルの思想がいきつく、最終的な答えはまだ見えていない。
21世紀のあり方を問う、いい本だと思う。


“実際いまの私たちの社会を見ると、所有ということ、あるいはそれを基礎にした等価交換という構造そのものが、社会の原理としてある限界点に達しているようなところがある。これは資本主義経済内での統制の形を見てもそうだし、なによりも、われわれの社会でボランティアとか非営利団体NPO)など、労力の贈与ということが社会現象として出てきた。”