瀬戸内国際芸術祭2010〜豊島の作品〜
1泊2日で、
直島、豊島、犬島とまわったが、
アートの作品で一番興味深い島は、豊島だった。
豊島は、3つの島の中ではもっとも観光地化していない島だ。
広い自然、
棚田、山に海、
食の豊かさや自然の恵みを感じさせてくれる島で、
他の2島とは違った。
島の空気、雄大さ、のんびりさ、
それ自体もこの島が一番よかった。
作品は、古い記憶や、その土地と一体化しているところがよい。
主に見て回ったのは、甲生地区。
もとは公民館だった建物に、
古くなった家を解体してできた窓や扉を集めてトンネルを加えた作品。
田んぼの奥に、たしかにねむる公民館の記憶。
古い家々の記憶。
稲の青々とした葉、
青い空、
瀬戸内の強い日差しにきらめく建物。
ゴンチチの放課後の音楽室でも思わせるような
佇まいがある。
一つ一つの扉や窓に刻まれた傷さえいとおしい。
じっくり観たくなる作品だ。
海沿いにあるのは、
キャメロン・ロビンスの潜在意識下の海の唄。
潮の満ち引きで音がする仕組みになっている。
それが、また、海にあっておかしくないもので
構成されているので、
景色と音と、海の記憶と一体となった作品になっている。
海を見ながら、
ゆったりと音を聞きながら、
こころは爽やかになる。
これもまた、
作品を夏にみる醍醐味かもしれない。
自然と地域と、古い記憶と一体となった豊島の作品。
スケールも雄大で、
おすすめ度は高い。