『ゲマインシャフトとゲゼルシャフト(上)』

ゲマインシャフトとゲゼルシャフト―純粋社会学の基本概念〈上〉 (岩波文庫)

ゲマインシャフトとゲゼルシャフト―純粋社会学の基本概念〈上〉 (岩波文庫)


ゲマインシャフトとは、実在的有機的な生命体と考えられるものであり、
ゲゼルシャフトとは、観念的機械的な形成物と考えられるものである。


農村的な血縁的共同体と、都市的な機能的共同体は
本質からして異なる。
ゲマインシャフトの研究とは、家の研究に集約される。
家を知ることが、地域を知り、ゲマインシャフト的な有機体を知る。


ゲーテが『ファウスト』の中で描いた終着点は、
ある種ゲマインシャフト的で、ある種ゲゼルシャフト的な場所であったと思う。
労働による有機体的な結合を遂げた共同体、か。


ゲゼルシャフトの考察も面白い。
ガツンときたのは、ゲゼルシャフトの経済の中心は、
労働者ではなく資本家だということ。
ほんとうの自由意志を有しているのは、資本家。
労働者と資本家を分けるものは何であるか、
自分はどこにいたいのか、
改めて考えさせられました。


“これに反して、資本家階級はまったく自由であり、実質的に自由意志的である。したがってまた、資本家階級に属する人々は、まったく自由意志的な、喜びに満ちた、実質的な、ゲゼルシャフトの主体であり、資本家階級に対立する人々は、なかば自由意志的な、単に形式的な主体にすぎない、と考えなければならない。”