『食堂かたつむり』
- 作者: 小川糸
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 2010/01/05
- メディア: 文庫
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同棲しいていた恋人にすべてを持ち去られた倫子は、
山あいのふるさとに戻る。
そこで、一日一組のお客様だけをもてなす、
決まったメニューのない食堂を開く。
あたたかく、
じっくりとゆっくりと手間ひまかけて作られる料理は、
人々を魅了します。
おいしいごはんを食べたくなりますね。
“お客さんの手元には、食後酒のグラッパが置いてある。その間に、外の冷たい空気を利用して、アイスクリームを作ろうと予定を立てていた。食堂かたつむりから一歩外に出たとたん、骨の髄まで瞬間冷凍されそうなほどだった。辺り一面を、冷たい空気が満たしている。
さっそく、材料を入れたステンレスのボウルを氷水の中に入れ、その中で泡だて器をめいっぱいの力で素早く動かす。見上げた空いっぱいに、大小幾多の星達がキラキラと無言でまたたいている。
幸せだった。”