『フロー体験 喜びの現象学』

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)

フロー体験 喜びの現象学 (SEKAISHISO SEMINAR)


喜びを科学する。
選択肢が多様になり、豊かになったとしても、
それを選ぶ際の意味づけがなければ、そこに喜びや幸せはないのではないか。


「自分は幸せかと問うことにより、幸せではなくなる」
という言葉は、ある真理を言い当てているように思う。


世界との関わり、仕事や他者との関わり、
そこに没入した状態とはどのようなものなのか。
簡単な方法論を教えてくれるわけではない。
一人一人に問われているのは、どんなとき、何に没入できるか、なのではないだろうか。


“我々の研究が示唆してきたように、楽しさの現象学は八つの主要な構成要素をもっている。被験者たちは、最も生き生きした経験をしている時の感じについて尋ねられた時、少なくとも次のうちの一つ、しばしば全部、を挙げたのである。第一に、通常その経験は、達成できる見通しのある課題と取り組んでいる時に生じる。第二に、自分のしていることに集中できていなければならない。第三、および第四として、その集中ができるのは一般に、行われている作業に明瞭な目標があり、直接的なフィードバックがあるからである。第五に、意識から日々の生活の気苦労や欲求不満を取り除く、深いけれども無理のない没入状態で行為している。第六に、楽しい経験は自分の行為を統制しているという感覚をともなう。第七に、自己についての意識は消失するが、これに反してフロー体験の後では自己感覚はより強く現われる。最後に、時間の経過の感覚が変わる。数時間は数分のうちに過ぎ、数分は数時間に伸びるように感じられることがある。これらすべての要素の組み合わせが深い楽しさ感覚を生む。”