『萩原朔太郎詩集』

萩原朔太郎詩集』(西脇順三郎 編)

萩原朔太郎詩集 (1965年) (青春の詩集〈7〉)

萩原朔太郎詩集 (1965年) (青春の詩集〈7〉)


萩原朔太郎の詩は、
なまなましさを背景にもったきれいさがある。


それは、
桜の木を思わせる。


桜の木がきれいなのは、
その木の下に死体が埋まっているからだと、
ある人が言った。


萩原朔太郎の詩は、
なまなましいきれいさ、
がある。



蛙の死


蛙が殺された、
子供がまるくなつて手をあげた、
みんないつしょに、
かわゆらしい、
血だらけの手をあげた、
月が出た、
丘の上に人が立つてゐる。
帽子の下に顔がある。