『雄気堂々(上)』
『雄気堂々(上)』(城山三郎 著)
- 作者: 城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1976/05/30
- メディア: 文庫
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明治の大実業家、渋沢栄一。
彼が起こした会社や組織の数は、並大抵のものではない。
彼もまた、幕末を駆け抜けた一人だった。
農民の出でありながら、
一橋家に仕え、
大政奉還を迎えた。
建白魔だったという。
自分で仕事をつくったという。
根底にあったのは、志とともに実を大切にするという判断であった。
志だけでは、ダメだ。
栄一は、苦労しながらも自分の道を模索していた。
“慶喜は、また例のような返事をしながら、きいていた。ただ、慶喜の瞳の中には、栄一の姿が大きくはっきりうつっている。(心にくいことをいう男だ)と、慶喜は思った。この若い建白魔がいよいよ気に入った。よく勉強するし、自分で仕事をつくってくる。しかも、軽輩ながら、一橋家の明日の姿を考えてくれている。”