『のぼうの城』

のぼうの城』(和田 竜 著)

のぼうの城

のぼうの城

時は乱世。
天下統一を目指す秀吉の軍勢が唯一、落とせない城があった。
武州忍城
周囲を湖で囲まれ、「浮城」と呼ばれていた。
総大将・成田長親は、領民から「のぼう様」と呼ばれ、泰然としている男。
智も仁も勇もないが、しかし、誰も及ばぬ「人気」があった−。


この城、
敵に回したが、
間違いか。




石田三成の二万の軍勢VSのぼう様の二千の軍勢
すごいぜ、のぼう様。


敵も味方も領民も、役者ぞろい。
人の描写がうまく、躍動しています。
のぼう様を描くのではなく、
周囲の人を描くことで、
謎に包まれたのぼう様が浮かび上がってきます。


さわやかな城とさわやかで力強い家臣団。
読後感も最高です。


“「しょうがねえなあ、あの仁も」
たへえは、ひいひい言いながら笑いを呑み込み涙を拭くと、ようやく言葉を発した。
「のぼう様が戦するってえならよう、我ら百姓が助けてやんなきゃどうしようもあんめえよ。なあ皆」
そうたへえが一同に呼びかけると、皆、「ああ」とか「ったくよお」などと、とうてい領主の徴発に応じる百姓とはおもえない態度で返している。”