『ベーシック・インカムー基本所得のある社会へ』

ベーシック・インカム基本所得のある社会へ』(ゲッツ・W・ヴェルナー 著)


ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ

ベーシック・インカム―基本所得のある社会へ


すべての人に基本所得を保証する。
それは、働かなくても生活できることを保証する。


オートメーション化が進んだ現在、
失業率が高くなるのは豊かな結果であるという。
あらゆる労働が機械にかわる。
セルフのガソリンスタンド、機械化した工場。
人が働く場を失うことになるのだが、これが豊かな社会なのである。


なぜ、完全雇用社会を目指すのか?
今や、全員が働かなくても社会は成り立つのではないか?


「働かざるもの食うべからず」という価値観を転換する時期に来ているのではないか?
働かない者は悪だというが、それはなぜか?


ベーシック・インカムが目指しているところは、
失業保険などの社会福祉を充実させるということとは主旨が異なる。
何が違うのか、一見分かりにくいが、
ポスト資本主義を見据えたときに、無視できない議論である。


オートメーションなどの自由主義の道を突き進んでいった結果、
社会主義のような考え方ともぶつかる。


ベーシック・インカムの導入が抱える問題はとても多く、
すぐに実現できるとは思いません。
ただ、労働と生活とに関して、新しい観点をもたらしてくれるのではないでしょうか?


“労働と所得を一致させることによって資本主義社会の生活原理の再活性化を図った戦後福祉国家は、こうして新しい「人間の生活を支える公共システム」に道を譲らざるをえなくなる。それが、労働と所得を切り離すベーシック・インカムなのである。「生活のために労働市場に依存せざるをえない常態に国民の大半を追いやってきた流れと手を切らねばならない」(オッフェ)のであって、労働とは切り離してひとまず生活の安定のために所得を保証するのである。そうでなければ、資本主義は延命しえない。そこまで「人間の生活と資本主義社会の生活原理の矛盾」は来ている。”